1990年のボルドーは戦後で最も成功した、偉大なヴィンテージ。日が良く照り収量は莫大、酸が少なくタンニンは多い、全体的に柔らかな印象のワインが多く造られた。 選び抜かれた最良のものを求める人達によって値が高騰し続けている偉大なヴィンテージです。
Wine étiquette
1997’10/19 14-1
充分開花していないこの時でも何とも言えぬ芳香と気品を感じるものだった。
Tasting
味わい/香り
- ボリューム:やや重め
- タンニン:やや強い
- 甘み:やや辛口
- 酸味:やや強め
- ジューシーに感じられるカシスのアロマに、杉、タバコ、落ち葉、鉛筆の芯などの複雑なニュアンスが絡み合った香り。 肉付きがありながらも、引き締まったエレガントな味わい。 タンニンは綺麗に溶け込み、ワインにシルクのように滑らかなテクスチャーを与えている。
Profile
概要
- 【Ownership】Barons de Rothschild
- 【Winemaker】
- 【Region or Appellation】Pauillac > Medoc > Bordeaux > France
- 【Wine Style】Red-Savory and Classic
- 【Grape/Blend】Bordeaux Blend Red Wine
- 【Food Pairing】Beef and Venison
- 【平均価格】¥190,000/750ml
- 【平均年間生産量】16000 Cases
- 【格付け】1er Grand Cru Classé
- 【Cepage】57% Cabernet Sauvignon, 30% Merlot, 13% Cabernet Franc
- 【Maturation】Oaked
- 【Alcohol ABV】12.5%
- 【Sweetness】Dry
Winery
- Château Lafite Rothschild は、Médoc 地区 Pauillac にあるワインのドメーヌで、世界で最も人気があり高価な赤ワインのひとつを生産している。
- Lafite Rothschild より力強い Latour や Mouton Rothschild とは対照的に、その芳香、エレガンス、フィネス、調和で知られている。 とはいえ、偉大なヴィンテージは50年以上熟成することもある。
- ブレンドはヴィンテージによって異なるが、多くの場合 Cabernet Sauvignon が80~95%を占め、残りの多くを Merlot が占める。
- ワイナリーでは、テロワールを保持し、ブレンドの際に最大限のコントロールを可能にするため、ブドウの区画を分けて発酵させる。 ワインは新樽で20ヶ月間熟成される。
- 畑は約112ヘクタールあり、石灰岩の下層土の上に細かい砂利と砂が混ざった、日当たりと水はけのよい場所にある。 畑は3つの部分に分かれており、シャトー周辺の丘の斜面にあるブドウの木が Grand vin の核となり、西に隣接する Carruades の台地は、セカンド・ワイン Carruades de Lafite の畑となっている。
- さらに、 Saint-Estèphe に4.5haの区画を所有しており、不思議な事に Pauillac 格付けのワインにこのブドウを含める許可を得ている。 畑の約70% Cabernet Sauvignon, 25% Merlot, 3% Cabernet Franc, 2% Petit Verdot が植えられている。平均樹齢は40年。
- 隣接する Duhart-Milon も Lafite が所有しており同じチームによって管理されている。
- DBR(Domaines Barons de Rothschild)は、Sauternes の Premier Grand Cru Classé の Château Rieussec 、Pomerol の Château L'Évangile 、他に Bordeaux ブランドのLégende, Saga, Résérve Spéciale も所有している。 さらに、Languedoc に Domaine d'Aussières 、チリの Los Vascos 、アルゼンチン・メンドーサの Bodegas Caro in Mendoza などのワイナリーもある。
- Pauillac 村の中で一番小高い丘に位置していたことから、古いガスゴーニュ語 で「小高いところ」を意味する「La Hite」が転じて「Lafite」と名づけられた。
- ブドウの作付けは中世から行われていたが、17世紀にSegur家が「Lafite」の所有者となり転機が訪れた。1670年代から80年代にかけてJacques de Segurがブドウ畑を広げワインの生産を本格化させた。
- フランスの宮廷ではギュイエンヌ(ボルドーの旧州名)は田舎というイメージがあり、専らブルゴーニュワインが愛飲されていた。
- 1760年代、ルイ15世の愛妾 Madame de Pompadour は、ワインで王の歓心を買おうとブルゴーニュの後に「Romanée-conti」と呼ばれる畑を入手しようとしたが、conti 公に競り負ける。Pompadour 夫人は代わりに「Lafite」を購入することになるがLafiteを大いに気に入りヴェルサイユ宮殿の晩餐会で必ず飲むようになった。これをきっかけにボルドーワインが宮廷で脚光を浴び、中でもLafite は「王のワイン」という名声を得ることになった。
- 18世紀半ばSegur侯爵には男子がいなかったため、数々のシャトーは4人の娘に分与され Lafite はその後、数人の所有者を経て、19世紀前半にオランダ商人のヴィンテーンベルグ家の所有となる。
- その間もワイン造りは受け継がれ、1855年のパリ万国博覧会で行われたメドック公式格付けでは、第1級格付けの筆頭として最高評価を受けた。
- 1787年、アメリカ建国の父 Thomas Jefferson は、アメリカ大使としてボルドーを訪れた際、 Bordeaux のワインに魅せられた。
- Thomas Jefferson は帰国後もこのエステートの熱心な顧客であり続け、各ボトルに自分のイニシャルを記したワインを大量に注文した。 今日、これらのボトルはオークションで天文学的な値段を付けられ、最も高価なワインボトルの記録を塗り替えている。
- 1868年8月8日、Baron James de Rothschild (パリRothschild家)が競売により Ch.Lafite と Ch.Caruades を購入し新所有者となる。3人の息子 Alphonse, Gustave, Edmond に託したわずか3ヵ月後に他界した。(Ch.Moutonは、1853年にロンドン Rothschild 家が購入している。)
- Ch.Lafite Rothschild にとって19世紀末から20世紀前半は苦難の時代であった。ブドウ畑がアメリカ大陸からもたらされたフィロキセラ害に遭い、第一次世界大戦では働き手の兵役や経済統制により大きな打撃を受けた。大恐慌時代はワイン市場も底値が続いた。
- 第二次世界大戦でドイツ軍によってフランスが占領され、ロートシルト財閥の財産であることを理由に解散させられが、戦後の1945年末に Ch.Lafite Rothschild の所有権を回復し、エリー男爵の下でシャトー再生への道が開かれた。
- エリー男爵は、ブドウ畑の整備と施設の修繕、シャトー管理体制の抜本的見直しに着手。その後1970年代にエリー男爵の甥、エリック男爵に運営が引き継がれ、ワイン造りの研究、技術チー ムの人材補充など、シャトー運営に新たな息吹をもたらす。
- Carruades de Lafite はセカンドワインですが、それ自体がワイン好きから強力な支持を得ている。 最終的なブレンドには、より多くの Merlot(30~50%)が占めている。 熟成期間は18~20ヶ月で、80%は樽で、20%はタンクで熟成させる。
ユダヤの国際財閥Rothschild家
- ドイツのフランクフルトで古物商兼両替商をしていたマイヤー・アムシェルは5人の息子をフランクフルト、ロンドン、パリ、ウイーン、ナポリの主要都市に分散し巨大な金融帝国を築き上げました。
- 1853年:Rothschild家祖 Mayer Amschelの三男ロンドンRothschild家祖Nathan Mayerの三男Nathaniel Mayerが「Ch.Mouton」を購入。
- 1868年 : Rothschild家祖 Mayer Amschelの五男パリRothschild家祖James Mayerが「Ch.Lafite」を購入。
- 1870年、プロイセンのビスマルクは普仏戦争終結の条件としてフランス側に支払不可能とも思える賠償金を要求します。しかし、銀行家の Rothschild が財力を結集し支払を完了します。これを聞いたビスマルクは拳を机にたたきつけ激怒します。その際にインク瓶が飛び散り机一面を汚した執務用の机が Lafite 館に家宝として保管されています。
Wine 雑学
AOC(AC)ワイン
- AOCとは Appellation d'Origine Controlee (原産地統制呼称制度) の略
- フランスの伝統的なワイン産地には、使っている葡萄品種や栽培方法、醸造方法などにそれぞれ固有のスタイルがあり、そのような産地の個性を守るための法的な規制です。
- 1935年にフランスで制定され、INAO(国立原産地名称研究所)が管理をしています。
- AOCが正確な表現で、「AC」は、「AOC」の表現が何度も続く場合に簡略化して言う場合。
- 原産地とあわせて言う場合には、「AC」を使う。例としてAC.Bourgogne との表示は Bourgogneが「O」に当たる原産地なのでACを使っています。
Chateau system
シャトー名をラベルに表示できる条件。畑や醸造所の設備などへの条件はありません。
「Generic Wine」
シャトー名を表示できないので、地域・地区・村のAOCの名前が大きく表示される。
- Chateau system とは、ボルドーの特有の制度として「シャトー名をラベルに表示」したワインを市場に出すための条件を決めた制度です。
- ボルドーワインは「シャトー・ワイン」と「ゼネリック・ワイン」に分けられる。
シャトー名をラベルに表示できる条件。畑や醸造所の設備などへの条件はありません。
- 自己の葡萄畑で栽培した葡萄のみを使用する
- 自分の醸造所でワインに仕込む
- 自分のところで樽貯蔵する
- 自分のところで瓶詰めを行う
- Chateau Wine の中でも常に高品質ワインを造っているシャトーには公的「格付け」がなされておりラベルには「Cru Classe」と表示し区別している。
「Generic Wine」
シャトー名を表示できないので、地域・地区・村のAOCの名前が大きく表示される。
- ボルドーの大手酒商(メーカーやネゴシアン)が、その地区や村の葡萄や樽酒を買い集め、混醸したワインを言う。 当然ながら他の地区や他の村の葡萄や酒を混ぜることは出来ません。
- ワインはその地区や村の性格を反映し、AOCの規定に従った一定の水準以上のものでなければならない。
- ボルドー全域のもの「Bordeaux」
- 地区のもの「Medocや Graves・・・・」
- 村のもの「MargauxやSt-Emilionなど」。これはセミ・ゼネリックとワンランク上の呼び方をする。