Mouton は、五大シャトーの中で最も“豪勢”“派手”と言われています。Lafitte の優雅さ、Margaux の女性らしさ、Latour の男性的な力強さなどとは一線を画し、濃厚で芳醇、ふくよかで肉づきがよくリッチな味わいです。更に深くてエキゾチックな魅力もあり、10~15年、じっくり瓶の中で熟成させていくと、獣肉のような艶めかしさが現れてくるという、とても魅惑的なワインです。
Ch.Mouton Rothschild 基礎知識
- 【Ownership】Baronne Philppine de Rothschild
- 【Winemaker】Patrick Léon
- 【Region or Appellation】Pauillac > Medoc > Bordeaux > France
- 【Wine Style】Red-Savory and Classic
- 【Grape/Blend】Bordeaux Blend Red Wine
- 【Food Pairing】Beef and Venison
- 【平均価格】¥400,000/750ml
- 【格付け】1er Grand Cru Classé
- 【Cepage】86% Cabernet Sauvignon & 14% Merlot
- 【Maturation】Oaked
- 【Ageing】18 months in barrels 100% new
- 【Alcohol ABV】12.5%
- 【Sweetness】Dry
Rothschild 家祖 Mayer Amschel の三男ロンドン Rothschild 家祖 Nathan Mayer の三男Nathanielが1853年に取得。Nathaniel はパリ Rothschild 家祖 James の長女 Charlotte と結婚し叔父の銀行業を手伝う為パリに移住する。
(家祖 Mayer Amschel の五つの遺言の一つに婚姻はRothschild一族内で行うこと)
- 100年以上も変更されることのなかった1855年のメドックの格付けがCh.Mouton Rothschild によって1973年唯一ひるがえされる。
- ロンドンロスチャイルド家がこのシャトーを買収したのは、1853年。その2年後のメドックの格付けで残念なことに2級に格付けされてしまいました。以後1級になるために様々な努力と働きかけを行い、実に118年後の1973年、4世代にわたる努力の末、ムートンは悲願の昇格を果たす。
- その時の有名な逸話に「われ1級になりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは昔も今も変わらず」という名文句があります。
ユダヤの国際財閥Rothschild家のワイン事業
ドイツのフランクフルトで古物商兼両替商をしていたマイヤー・アムシェルは5人の息子をフランクフルト、ロンドン、パリ、ウイーン、ナポリの主要都市に分散し巨大な金融帝国を築き上げました。
- 1853年:Rothschild 家祖 Mayer Amschelの三男ロンドンRothschild家祖Nathan Mayerの三男Nathaniel Mayerが「Ch.Mouton」を購入。
- 1868年 : Rothschild 家祖 Mayer Amschelの五男パリRothschild家祖James Mayerが「Ch.Lafite」を購入。
- 1973年 : Rothschild 家祖 Mayer Amschelの五男パリRothschild家祖James Mayerの四男 Edmond の孫2代目 Edmond がワイン事業を開始します。
Philippe de Rothschild男爵(1902〜1988)
1853年、Ch.Mouton Rothschild を取得した Rothschild 家祖 Mayer Amschel の三男ロンドンRothschild 家祖 Nathan Mayer の三男 Nathaniel から数え4代目。
Mouton artist etiquette collection
1945年、Philippe de Rothschild男爵は、連合軍の勝利を記念して美術作品を Mouton Rothschild のラベルに飾るアイディアを創出した。
https://www.chateau-mouton-rothschild.com/label-art/discover-the-artwork/jean-carzou?
※1945’
フィリップ・ジュリアン(1921〜1977)作
V (victory) マークが絵がれたイラスト
※1946’
ヴィクトル・ユーゴーの曾孫、ジャン・ユーゴー(1894〜1985)作
聖書の「ノアの方舟」に登場するオリーブの枝をくわえた鳩が描かれている
※1947’
ジャン・コクトー(1889〜1963)
深い視線を送る古代ギリシャの美青年エフェボスの横顔。
原画は消失されており、親友のジャン・マレによる複製
※1948’
マリー・ローランサン(1885〜1956)
酒神バッカスの巫女
※1949’
アンドレ・ディニモン(1891〜1965)
田舎風タベルナの様子
※1950’
ジョルジュ・アルニュルフ(1921〜 )
版画の技法
1951’
マルセル・ヴェルテ(1896〜1961)
美しい牧歌的風景を背景に中睦まじい恋人
1952’
レオノール・フィニ(1908〜 )
女性のような牡羊
1953’
シャトー購入100周年記念ヴィンテージ
1853年、Nathaniel Mayer がシャトー購入
Nathaniel Mayer(1812〜1870)の肖像画
1954’
ジャン・カルズー(1907〜 )
運命の車輪のアレゴリー
1955’
ジョルジュ・ブラック(1882〜1963)
曲線を多用した力有る色彩との調和が特徴的
1956’
パヴェル・チェリチェフ(1898〜1957)
La tache de vin(ワインの染み)
1957’
アンドレ・マッソン(1896〜1987)
恍惚とした飲みての肢体が葡萄の枝に絡まる様子
1958’
サルバドール・ダリ(1904〜1989)
優しい風貌の羊
1959'
リチャード・リッポルド
ワインの色と葡萄の垣根
1960'
ジャック・ヴィヨン(1875〜1963)
幾何学的ブドウ畑と動きのある鳥
1961'
ジョルジュ・マチュー(1921〜 )
激しい色彩と苦悩に満ちた画風
1962'
ロベルト・マッタ・エチャウレン
現代における暴力性、機械化社会の状況下でも果実を実らせる葡萄樹
書き添えられた一文「そのビロードのような優しさは、固く閉ざされた心をも開かせる」
1963’
バーナード・デュフール(1922〜2016)
葡萄の房と裸体の細長い胴体が向かい合った絵
1964’
ヘンリー・ムーア(1898〜1984)
組んだ手に支えられた聖杯3脚
1965’
ドロテア・タニング(1912〜 )
少女の様な子羊
1966’
ピエール・アレンスキー(1927〜 )
酒飲み雄羊
1967’
セザール・ダルバッチーニ(1921〜 )
Mouton Rothschild を取り巻く現代社会の人造物のユーモラスな構図
1968’
ボナ・ティベルテッリ(1926〜 )
豊穣の女性のような牡羊
1969’
ジョアン・ミロ(1893〜1984)
血液の様な赤色で塗りつぶされた一粒の巨大な葡萄がキャンバスを覆い、
左隅に Rothschild 家の青色と黄色に塗られた旗がユーモラスに描かれている
1970’
マルク・シャガール(1887〜1985)
葡萄粒をつつくツグミ、母が子供に葡萄房を手渡す構図
1971’
ワシリー・カンディンスキー(1866〜1944)
パリのジョルジュ・ポンピドー・センターに所蔵されている
1972’
セルジュ・ポリアコフ(1900〜1969)
グランヴァンの魅力の全てが描かれている
1973’
パブロ・ピカソ(1881〜1973)
人間の肢体、人間的オブジェが人間的空間に配置されている
2001’11/08 55歳誕生日に飲む
1974’
ロバート・マザウェル(1915〜1991)
抽象とカリグラフィーの狭間で揺れる不気味などっしりした黒いフォルム
1975’
アンディ・ウオーフル(1930〜1987)
ユーモアと厳格さのあるフィリップ男爵の異なる表情を並置している
1976’
ピエール・スーラージュ(1919〜2022)
モノクロの色合いで Mouton Rothschild のイニシャルを表現
1977’
1977年4月、エリザベス皇太后は Philippe de Rothschild 男爵の招待を受け3日間 Mouton での滞在を楽しまれた。このご訪問を記念し皇太后に敬意を表し1977年 Mouton Rothschild のラベルを皇太后に献呈した
1978’
ジャン=ポール・リオペル(1923〜 )
リオペルはラベル用に2点作成したが、一つに決定できず半分づつに採用されている
1979’
堂本 尚郎(1928〜2013)
日本人のイラストが初めて採用される
1980’
ハンス・アルトウング(1904〜1989)
奥行きと今にも爆発しそうなパワーが詰まった作品
1981’
アルマン・フェルナンデス(1928〜 )
叩き割られたバイオリンがモチーフの作品
1982’
ジョン・ヒューストン(1906〜1987)
水彩画。酒神の快楽を身体いっぱいに感じるような動きの牡羊に太陽と葡萄が寄り添う
1983’
ソール・スタインバーグ(1914〜 )
人間の孤独がテーマ。誰もいない海岸線、地上線の一つの点として描かれた人。パステルカラーの空に描かれた太陽
1984’
ヤコブ・アガム(1928〜 )
ワインが放つ光、飲む人の陶酔感がこの四角形の絵に動きが加わる
1985’
ポール・デルボー(1897〜1994)
お互い見知らぬ様子の清純な少女が描かれ、うっとりと葡萄の房を見つめ手で触れ
味わう事で、葡萄の魔力で結ばれる
1986’
ベルナール・セジュルネ(1947〜1994)はハイチの農園経営者一族に生まれる
半開きの視線を投げかける首の長い華奢な女性3人が深い闇に浮かぶ「白色のネグリチュード」として描かれている。ネグリチュードとは、アフリカ黒人の精神的風土や文化の特質をさす語。ベルナール・セジュルネの才能が花開いた最高傑作のひとつ。
1987’
ハンス・エルニ(1909〜 )
Philippe de Rothschild男爵の放つ豊かなエネルギーを作品に捉えている
1988’
キース・ヘリング(1958〜1990)
踊る牡羊をユーモラスに描いた作品
1989'
ゲオルグ・バゼリッツ()
逆さまの牡羊、東ドイツ生まれの作者がこの年起きたベルリンの壁崩壊をイメージした作品
メッセージは「向こうも今はこちら」を意味する言葉が書かれている
1990'
フランシス・ベーコン(1909〜1992)
ワイングラスを囲むような奇妙かつ衝撃的な肉体モチーフでワインの陶酔感を表す
1991’
節子(1942〜 )
ワインの永遠の物語をパッチワーク的手法で語っています
1992’
ペール・キルケビー(1938〜 )
巨大なグラスの輪郭から暗い赤色のワインが溢れ、太陽の光とブドウ畑が絡みあって一つになった様子
1993’
バルチュス(バルタザール・クロソフスキー・ド・ローラ伯爵)(1909〜2001)
放心の眼差しの優雅さをまとった少女が描かれている。
米国のBATF(アルコール・タバコ・火気・爆発物取締局 )の検査を通過していたにも関わらずリリース直後から幼児虐待だと物議を醸します。Philippe de Rothschild男爵夫人は、アメリカ市場に出荷されていたボトルの自主回収を決断、かつBATFに承認取消を求める。アメリカ輸出用のものには絵が無い白地のラベルが使われた。
1994’
カレル・アペル(1921〜 )
ボトルの中に閉じ込められた精を解き放そうとトーテム像さながらのボトルの周りで激しく踊る二人の飲み手が描かれている。
1995’
アントニ・タピオス(1923〜 )
1つの鼻、1つの目、1つの口、2つの心臓でグランヴァンが約束する感覚の祭典をユーモラスに表現している
1996’
古干(グーガン、1942〜 )
5つの心を意味する表意文字で普遍の調和に築かれた信頼関係を表現
1997’
ニキ・ド・サンファル(1930〜2002)
太陽、食器、食いしん坊の口、伸びる手、で食の喜びをテーマのお祭りの雰囲気を表現。真ん中に描かれている「誘惑者のヘビ」は、伝承のリンゴをイヴに手渡す代わりにワインボトルを勧めている。
1998’
ルフィーノ・タマヨ(1889〜1991)メキシコのサボテカ族
タマヨは、1990年にラベル制作依頼を承諾していたが1991年に亡くなる。残された家族は生前の思いを実現することを熱望し、作品「ブリンデス、スペイン語で祝杯を意味する」を贈呈する。赤く燃える太陽の下で乾杯の音頭をとる男で庶民の日常を表現する。
1999’
レイモン・サヴィニャック(1907〜 )
牡羊が後ろ足を蹴り上げ元気いっぱいに千年紀の終わりを告げる風刺画。
2000’
1945年依頼 Ch.Mouton Rothschild のラベルには、そのヴィンテージ用に制作された巨匠美術家の絵画作品が飾られた。
2000年は、例外的にボトルそのものがコレクション作品とした。併設ミュージアムに飾られている「アウスブルクの牡羊」をボトルに彫り込んだ。
「アウスブルクの牡羊」は、ドイツ人金細工職人ヤコブ・シュナウアーの1590年頃の作品です。
- 黒いキャプシール部分に牡羊の首輪に掘られている模様が彫り込まれた金の輪が描かれ、そこには羊の胴体の渦巻き型彫刻装飾が彫られている。
- 紋章、ワイン名、ヴィンテージ、オーナー署名が上質の金箔で孔版印刷されている。
- ボトルは、重量のある高級ガラスを採用し、円錐台形型シルエットに若干手直しされている。
- ボトルの底には、真正性認証のため、Chateau Mouton Rothschild の名が刻まれている。
2001’
ロバート・ウイルソン(1941〜 )
葡萄の若枝の緑と太陽である黄金色、明るい赤色から深みのある紫色へ豊かなワインの色階との調和が素晴らしい彩りのシンフォニーの中に友人であるフィリピーヌ夫人を演出した作品
2002’
イリヤ・カバコフ(1933〜 )
膨大な数の羽が円を描き続け見る者は夢と美の世界に引き込まれます。
2003’
ギ・ド・ルージュモン(1935〜2021)
Rothschild 家が、ムートンの所有権を取得してから150年目の記念すべき年。Rothschild 家イギリス分家に属する Nathaniel Rothschild 男爵の肖像が採用される。背景はドメーヌの購入証書。この文章はムートンの資料庫に大切に保存されています。
2004’
エドワード7世の直系の子孫で才能あふれる画家でも有るチャールズ皇太子殿下ウエールズ公は自身の水彩画作品が2004年のラベルを飾ることを承諾します。
2004年は、1904年4/8日に英仏協商が結ばれ、この出来事から100周年の記念すべき年です。
2007’
ベルナール・ヴネ(1941〜 )
樽の曲線を思わせる輪のアーチが天からの貴重な授かりものを受け止めようとしてる風にも思わせる。
2008’
徐螺(シュ・レイ 1963〜 )
葡萄の惑星の半球と半球を結びつける役割が岸壁の上の一頭の牡羊が果たしている。
2009’
アニッシュ・カプーア(1954〜 )
マチエールと光を激しく衝突させ生命力溢れる植物の芽吹きを表現している。
2010’
ジェフ・クーンズ(1955〜 )
ポンペイに残るフレスコ画「ヴィーナスの生誕」が描かれ、銀色のデッサンを重ねる事で遥か彼方へワインを運ぶ一艘の船に、ワイングラスに変容させている。
2011’
ギ・ド・ルージュモン(1935〜2021)
日当たりの良い葡萄樹の透明感、セラーの暗闇まで偉大なワインの誕生を曲がりくねった幾何学模様で表現されています。
2012’
ミケル・バルセロ(2012〜 )
Mouton 伝統のエンブレムを現代風に蘇らせた作品。2014’08/22に亡くなった Philippe de Rothschild 夫人が選んだ最後のラベルです。
2013’
リ・ウーファン(1936〜 )
色の変化で偉大なワインになる様子を表現しているようです。
2014’
デイヴィッド・ホックニー(1937〜 )
生前親交が有った Philippe de Rothschild 男爵夫人(1933〜2014)へのオマージュとして描かれた放線状に広がるペアグラスは、永年にわたり主役を演じたムートンの物語です。
2015’
ゲルハルト・リヒター(1932〜 )
動きのある色彩がグランヴァンのアッサンブラージュのようです。
Philippe de Rothschild 男爵夫人が逝去された後の一族所有の3シャトーの代表者に兄弟が就任する。
長女 Camille Sereys de Rothschild
長男 Philippe Sereys de Rothschild
次男 Julien de Beaumarchais de Rothchild
2016’
ウイリアム・ケントリッヂ(1955〜 )
酒に酔いしれる人々を想起さすシルエットがパレードする場面
2017’
アネット・メッセージャー(1943〜 )
ミルクとワインという物質を現実的、象徴的なモードでまとめている
2018’
シュー・ビン(1955〜)
漢字に似ていますが、ラテン語のアルファベットで構成されています
2019’
オラファー・エリアソン(1967〜 )
作品名「ムートンのソーラーアイリス」
2020’
ピーター・ドイグ(1959〜 )
セザンヌとゴッホの響き、ギターの旋律、夜の素晴らしいワイン誕生の魅惑的な空想を組合せています。
2024’
塩田千春()
人間と宇宙を繋ぐ4本の糸は四季と、それに関わるあらゆる感情、孤独、希望、充実感をあらわしています
0 件のコメント:
コメントを投稿