Ch.Pichon Lalande と Ch.Pichon Baron

2025年8月26日火曜日

Bordeaux Le Medoc Wine雑学

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Ch.Pichon Lalande と Ch.Pichon Baron


Pichon の歴史

  • Medoc の大部分は沼地で、この地域の開拓が始まったのは17世紀頃のことでした。
  • Pichon Longueville の歴史も Pierre Desmezures de Rauzan 氏が Pauillac 近くのサン・ランベールに“砂利が多い”40の区画を開拓し葡萄樹を植えた事に始まる。
  • 1694年、娘テレーズが Bordeaux 議会長 Jacques de Pichon-Longueville と結婚する際その畑を持参する。以後、同じ一族がシャトーを運営していきます。
  • 17世紀まで遡ると、Pichon Lalande と Pichon Baron は一つのシャトーだった。
  • 1850年、当時のオーナー Jacques de Pichon-Longueville の孫 Baron Joseph de Longueville が亡くなりシャトーは分割相続される事になる。
  • 分割相続の内容は、長男 Raoul と次男 Louis が2/5の畑と醸造施設を、残り3/5の畑を女兄弟3人が引き継ぐこととなる。男兄弟は、現在の Pichon Baron、女兄弟は Pichon Lalande を相続します。しかし、次男 Louis は早くに亡くなり、 Pichon Lalande を相続した娘達の長女 Virginie は修道女、残り2人の娘も嫁いでいたため、実際には長男 Raoul が 他界する1860年まで Pichon Longueville Baron で1つのシャトーとして管理していた。
  • 1864年、長男 Raoul の他界とLalande 王のもとに嫁いでいた次女がワイン造りに関心を示したため正式に「Pichon Longueville Baron」とラランド王国の王女の意味をもつ「Pichon Longueville Comtesse de Lalande」に分割される。
  • 姉妹が相続した Pichon Lalande の方は、滑らかな女性的なワインを、男兄弟が相続したPichon Baron は、がっちりとした壮大で厚みのある Pauillac らしい男性的なワインが造られました。

隣接する Château Pichon-Longueville Baron と区別す  るためもあり一般的には「Pichon-Lalande」または「Pichon Comtesse」と略されることが多い。

Ch.Pichon Longueville Comtesse de Lalande




  • ボリューム    軽□□□□□□□□□□■□□重
  • タンニン     控□□□□□□□□□■□□□渋
  • 甘み       辛□■□□□□□□□□□□□甘
  • 酸味       弱□□□□□□□□□■□□□強
  • 縁はレンガ色、オーク・カシス・日陰の土・チェリー・ラズベリーなど色々な香りが、しっかりしたタンニンの中に感じる。


  • 【Ownership】May Eliane de Lencquesaing(Champagne Louis Roederer 2007〜)
  • 【winemaker】Nicolas Grumineau(Château Montroseで活躍した醸造家)2012年〜
  • Region or AppellationPauillac > Medoc > Bordeaux > France
  • Classification】Cru Classé
  • Wine StyleRed-Savory and Classic
  • Grape/BlendBordeaux Blend Red Wine
  • 【Blend】Cabernet Sauvignon, Merlot, Cabernet Franc & Petit Verdot
  • Food PairingBeef and Venison
  • 【Sweetness】Dry
  • 【Maturation】French Oaked
  • 【Alcohol ABV】12.5%
  • 【Avg. Price 】¥56,000/750ml


  • Château Pichon Longueville Comtesse de Lalande は、 Bordeaux 北部の Médoc 地区 Pauillac のアペラシオンで高く評価されているワインのドメーヌ。 
  • シャトーのテラスに立つと、目の前にはジロンド河とシャトー・ラトゥールの塔が見え、一面のブドウ畑はサン・ジュリアン村まで続いています。まさにポイヤックらしい力強く深みのある男性的な雰囲気と、隣接するサン・ジュリアンのエレガントさやしなやかさが共存するピション・ラランドの味わいそのものの景観です。
  • メドック格付け第1級「シャトー・ラトゥール」と、格付け2級の「シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン」の間に位置します。
  • 隣接する Château Pichon-Longueville Baron と区別するためもあり一般的には「Pichon-Lalande」または「Pichon Comtesse」と略されることが多い。
  • Pichon-Lalande は、Pauillac アペラシオンの南端に位置する、第一級畑 Château Latour にも隣接している。 この3つのエステートはすべて、似たようなテロワールと気候を共有しており、それが Comtesse de Lalande のワイン品質を説明する一助となっている。
  • このドメーヌは Cabernet Sauvignon 主体の Grand vin を生産し賞賛されている。
  •  Pichon-Lalande の estate は、 Pauillac と Saint-Julien の両方に85ヘクタールを所有している。Saint-Julien の所有面積は12ヘクタールで、Saint-Julien ラベルのワインを生産しているが、現在はほとんど流通していない。
  • Vineyard では5種類のボルドー品種が栽培されているが、Grand vin のブレンドは歴史的に60% Cabernet Sauvignon, Merlot, Petit Verdot が主流である。 Comtesse de Lalande のワインは、 Merlot の比率が高く Médoc ワインの中でも特に官能的である。
  • 新しいオーナーの Louis Roederer 社のもとで、伝統を重んじながらも最新の技術・設備を導入し更に品質を向上させている。過去には Pauillac の中では断トツの女性らしい優美で華やかなワインスタイルと称されていましたが、2013年ヴィンテージは Cabernet Sauvignon 100%の力強い味わいをリリースしている。
  • 近年はストラクチャーと骨格を与えるため、ブレンドにおける Cabernet Sauvignon の比率を調整し少し力強さも意識しています。ただし、Merlot の比率は変えず Cabernet Franc と Petit Verdot の比率を下げました。
  • 新樽の比率を半分にまで引き上げ、フルーティーさを意識した醸造が行われています。かつて早飲みも楽しめたワインでしたが、完全な長期熟成スタイルへと変化を遂げています。
歴史
  • 1925年、Bordeaux で「クルティエ」と呼ばれるシャトーとワイン商の間を取り持つ仲買人として地位を確立し、数多くのドメーヌや不動産を所有するようになった Miailhe 兄弟( Édouard と Louis)によって買収された。このドメーヌは20世紀の大半 Miailhe 家に属していた。
  • 1978年、Édouard の娘 May Eliane de Lencquesaing  がこのシャトーを引き継ぎ精力的な舵取りのもとで驚くべき品質改善が行われ、一級シャトーにも劣らない人気を獲得した。今日のシャトーの名声築いた Lencquesaing 婦人は、ステンレス発酵槽の新設、樽貯蔵室の拡充、テイスティングルームの新設などを行っています。
  • 2007年、 Champagne Louis Roederer に売却されたが、 Lancquesaing のドメーヌ管理は広く賞賛されている。 売却に先立ち、Lancquesaing は南アフリカの Stellenbosch に Glenelly wine estate を設立した。
  • このシャトーの Lencquesaing(左)と Ch.Margaux の Corinne(右)が Bordeaux 唯一の女性オーナーです。
      

  • 2007年から所有者となった Louis Roederer 社のルゾー家は、ビオディナミ農法を取り入れたり、カベルネの比率を上げたりとよりエレガントなスタイルにシフトしています。また、2012年にモンローズで活躍した若き醸造家ニコラ・グルミノー氏がワインメーカーに就任し、 醸造所のリノベーションを実施。パーセル(区画)ごとの醸造をより厳密に行うことで、より緻密なスタイルに変化させています。
  • 一般的にポイヤックのシャトーは、威風堂々として筋骨逞しい男性的なスタイルのワインが主流ですが、ピション・ラランドのスタイルはポイヤックの中で最も華やかで優美そのもの。「アタックはあくまでデリケートに。しかし中間から一気に広がってくる圧倒的な果実味、そしてフィニッシュには遠慮しない。」をモットーに掲げ、エレガンスと力強さを兼備するそのしなやかなスタイルは、「ポイヤックの貴婦人」として一目置かれています。
  • 1990年代まではポイヤックの中でも特にメルロの比率が高く、メルロ由来の丸みのあるタンニンが特徴でしたが、徐々にカベルネ・ソーヴィ二ヨンの比率が増え、2013年にはシャトー史上初めてカベルネ・ソーヴィニヨン100%で造られました。スーパセカンドとして確固たる地位を築いた今でも、現状に満足することなく常に進化を続ける、今後も目が離せない注目のシャトーです。


Chateau Pichon-Longueville Baron

1851年、ラウール男爵によって建設された現存する美しいシャトー


  • ボリューム    軽□□□□□□□□□□■□□重
  • タンニン     控□□□□□□□□□□■□□渋
  • 甘み       辛□■□□□□□□□□□□□甘
  • 酸味       弱□□□□□□□□□□■□□強
  • クラシックな作りの素晴らしいボルドーワイン


  • 【Ownership】AXA Millésimes
  • Winemaker】Alexandra Lebossé
  • 【Vineyard Manager】 Viticulturist Aymeric Hervy
  • Region or AppellationPauillac > Medoc > Bordeaux > France
  • Classification】2eme Grand Cru Classé
  • Wine StyleRed-Savory and Classic
  • Grape/BlendBordeaux Blend Red
  • 【Blend】Cabernet Sauvignon, Merlot
  • Food Pairing】Beef and Venison
  • 【Sweetness】Dry
  • 【Maturation】French Oaked
  • 【Alcohol ABV】13%
  • 【Avg. Price 】¥28,000/750ml
  • Ageing】80% in new barrels, 20% from barrels of one vintage for 18 months
  • 【ETC.1987’~2000’ Ch.Lynch BagesのJ.M.Cazes氏が運営管理
Ch.Pichon Longueville Comtesse de Lalandeと区別するために、ボルドーでは親しみを込めて「Baron」の愛称で呼ばれている。

セカンドワインはメルロ主体の「Les Tourelles de Longueville」に加え、2012年ヴィンテージよりカベルネ・ソーヴィニヨン主体の「Les Griffons de Pichon Baron」を造っています。


  • 1855年のメドック格付け制定において「Pichon Longueville Baron」「Pichon Longueville  Lalande」 の両シャトーともに格付け第2級に選ばれる。
  • 1933年、Pichon Longueville Baronは、Ch.Lanessan の所有者であった Bouteiller 家に売却され、ジャン・ブッテイエとその息子であるベルトランによってワイン作りが行われた。
  • 「Pichon Longueville Baron」は Garonne川とDordogne川がBordeaux市付近で合流してできるGironde川に沿ったPauillac村とSt.-Julien村の境にあります。「Pichon Longueville Comtesse de Lalande」「Ch.Haut Batailley」「Ch.Latour」に並んでいます。
  • この周辺全体は谷のような地形であるため、St.-Julien側、Pauillac側とも丘のような地形に畑が広がっています。Gironde川沿いの土地は永い年月の中で幾度も起こった川の氾濫の影響により砂利が堆積した地形が広がっています。当然、川沿いに丘状に広がっている「Pichon Longueville Baron」の畑にも多くの砂利が堆積しており水捌けの良い葡萄栽培に適した条件になっています。
  • 畑に多く含まれる砂利は日中は太陽熱を蓄え葡萄へ反射し、夜間は急激に冷え冷気を葡萄へ反射させます。この気温差が葡萄にとってストレスとなり、より良い葡萄へと育つ大きな要素となっています。
  • 畑はジロンド川の真南に面し、サン・ジュリアンとポイヤックの境目付近にあり
  • ラトゥールやレオヴィル・ラスカーズ、レオヴィル・ポワフェレと隣接する素晴らしい場所に位置しています。好敵手の Pichon Longuevil Lalandeとは街道を挟んで並んでいます。畑に多く含まれる砂利は日中は太陽熱を蓄え葡萄へ反射し、夜間の砂利は急激に冷え冷気を葡萄へ反射させます。この気温差が葡萄にとってストレスとなり、より良い葡萄へと育つ大きな要素となっています。
  • Pichon Longueville Baronは73haの畑を所有していますが、その半分以上の40haはこのような立地の畑でファーストワインは、ほとんどがこの畑から採れたぶどうを使用しています。
  • 1987年、大手保険会社のAXA社が買収し大規模改革に乗り出す。購入当時は14人ものオーナーがいる格付け第2級の品質が伴わないシャトーになっていた。
  • AXA保険は「AXA Millesimes」というワイン投資会社を作り「Ch.Lynch BagesのJ.M.Cazes」氏を取締役として招聘し多額の資金を投じシャトーの大規模改革に乗り出します。Ch.Lynch BagesとCh.Haut Batailleyの近くに畑を新たに購入し畑面積を倍増し厳しい選果を可能にする。
  • 更に醸造設備の刷新、新樽バリックの比率増、セカンドワイン「Les Tourelles de Longueville」の導入など、次々と行った改革により品質を劇的に上昇させる。2000年J-M-Cazes氏は退任しますが、後継者クリスチャン・シーリー氏の下その品質を守り続けています。
  • 環境に配慮した葡萄栽培、醸造を行い、土壌の個性を大切にしたワイン造りを目指す組織「Terra Vitis(テラ・ヴィティス)」の認証を受け、EMS(環境マネジメントシステム規格)の「ISO14001」も取得している数少ないシャトーの一つです。更にlutte raisonneeという減農薬栽培にも取り組んでいます。
  • 醸造面において特徴的なのが、樽の中でmalolactic発酵を行っている事です。多くのシャトーでは管理しやすいタンク内におけるマロラティック発酵を行っています。樽の中でマロラティック発酵を行うメリットは、樽香が早く付くだけでなく、タンニンの質に良い影響を与えるという点です。
  • シャトーの前にある池の下に樽貯蔵庫を新設し、醸造施設から樽貯蔵庫、テイスティングルーム、ブティックへと地下を通って人の行き来ができます。樽貯蔵庫へ通じるスロープの壁にはその深さごとに土壌構成が記されています。
  • エチケットのデザインは2012年ヴィンテージからBaron de Pichon Longuevilleを下部に記載するのは変わらないですが、上部に.Pichon Longueville Baronと表示していたのを、通称の「Ch.Pichon Baron」に変更しています。
  • コンテス・ド・ラランドが女性的と形容されるのに対し、ロングヴィル・バロンは一般的には男性的と表現されています。が、熟成を経て女性的なエレガントな姿へ変貌する様には驚かされるものがあります。
  • 一時低迷していた名声をアクサ・ミレジム社が買収し、建て直しました。その複雑緻密、かつ力強い酒質によってスーパーセカンドの一翼を成しています。
【Jean Michel Cazes】
  • St.-EstepheのCh.les Ormes de Pez、PauillacのCh.Lynch Bageの所有者。
  • 彼は AXA Millésimesの取締役に就任するとCh.Pichon Longueville Baron、Ch.Cantenac Brown、Ch.Suduiraut、Ch.Pibran、等を買収し大規模改革を行い資産価値を向上させます。但し投資目的での購入ですのでいずれ売却されるでしょう。2000’でAXA Millésimesの取締役は退任しています。
Ch.Lynch Bage

Ch.les Ormes de Pez



Wine 雑学

Bordeaux Wine

  • Bordeaux はフランスのAOCワインの約4分の1に当たる膨大な量のワインを産出しています。また質においても並酒から最高級ワインに至るまで有る幅広く多彩な銘醸地域であります。
AOCとは、Appellation d'Origine Controlee (原産地統制呼称制度) の略。
  • フランスの伝統的なワイン産地には、使っている葡萄品種や栽培方法、醸造方法などにそれぞれ固有のスタイルがあり、そのような産地の個性を守るための法的な規制です。1935年にフランスで制定され、INAO(国立原産地名称研究所)が管理をしています。
  • AOC が正確な表現で、AC は、AOC の表現が何度も続く場合に簡略化して言う場合、或いは原産地とあわせて言う場合に AC を使う。 AC.Bourgogne の Bourgogneが AOC の O に当たる原産地名となります。 
ボルドーの特有の制度 Chateau system
  • Bordeaux の特有の制度として「Chateau 名をラベルに表示」したワインを市場に出すための条件を決めた制度です。
  • ボルドーワインは「Chateau Wine」と「Generic Wine」に分けられる。
「Chateau Wine」
  • シャトー名をラベルに表示できる条件。畑や醸造所の設備などへの条件はありません。
  • 自己の葡萄畑で栽培した葡萄のみを使用する
  • 自分の醸造所でワインを仕込む
  • 自分のところで樽貯蔵する
  • 自分のところで瓶詰めを行う
  • Chateau Wine の中でも常に高品質ワインを造っているシャトーには公的「格付け」がなされておりラベルには「Cru Classe」と表示し区別している。
「Generic Wine」
  • シャトー名を表示できないので、地域・地区・村のAOCの名前が大きく表示される。
  • Bordeaux の大手ワイン商(メーカーやネゴシアン)が、その地区や村の葡萄や樽酒を買い集め、混醸したワインを言う。 当然ながら他の地区や他の村の葡萄や酒を混ぜることは出来ません。
  • ワインはその地区や村の性格を反映し、AOCの規定に従った一定の水準以上のものでなければならない。ラベル表示はAOCにのっとって3種類に分けられる。
   1.Bordeaux のみを表示する Bordeaux 全域ワイン
   2.Medoc や Graves 等の地区ワイン
   3.Margaux や St-Emilion などワンランク上の Semi-Generic ワイン

Bordeaux 格付け

1855年のパリ万国博覧会開催に際し、ナポレオン3世の要請を受けて制定されたフランスのBordeaux・Medoc 地区の格付け。世界的にも有名なこの格付けは160年以上経つ現在でもワイン市場に大きな影響力を持ち、ワインラヴァーにとっても大切な指標となっています。

Boedeaux には四つの地区にそれぞれ独自の格付けがあり、現在、総生産量の約5%を占める Bordeaux ワインが格付けにランクインしています。

Medoc メドック格付け

Medoc 格付けは、1855年開催のパリ万国博覧会の展示品の一つとして、時の皇帝ナポレオン3世の要請を受け、Bordeaux 商工会議所によって作成されました。
建前的には Gironde 県内すべてのシャトーを対象としたものですが、作成したのが Bordeaux 商工会議所のため、Libourne 商工会議所が管轄する Dordogne 川右岸の Saint-Émilion  や Pomerol のシャトーは考慮されず、赤ワインの格付けは Medoc のシャトーに限定されました。 
ただし、当時から名声の高かった Ch.Haut Brion が唯一の例外として Graves から選定されています。なお、格付けは試飲によって決められたものではなく、過去数十年にわたる取引価格をもとに決定されました。

Medoc の格付けは第1級から第5級までの5等級あり、1855年4月18日に発表された当初は合計57のシャトーが選ばれました。その後相続による分割や他のシャトーへの吸収などを経て、現在、第1級に5シャトー、第2級に14シャトー、第3級に14シャトー、第4級に10シャトー、第5級に18シャトーの合計61シャトーが格付け表に名を連ねています。

特筆すべきは1855年の制定以来1度だけ見直しが行われ、1973年に第2級の Chateau Mouton-Rothschild が第1級に昇格したことです。しかし、それ以降見直しは一切行われず、今後も行われる様子はありません。

Sauternes ソーテルヌ格付け
1855年のパリ万国博覧会で白ワインも格付けされています。対象は Sauternes と Balzac 地区の甘口ワインとされました。
格付け等級は三つに分かれており、別格扱いの最高クラス Premier Cru Supérieur にChâteau d'Yquem 、第1級の Premier Cru に11シャトー、第2級の Deuxième Cruに15シャトーの合計27シャトーが格付けされています。


Graves グラーヴ格付け

Graves の格付けは、1855年の格付けで Ch.Haut Brion を唯一の例外としてGraves のワインが選ばれなかったことから、生産者組合の要請に応じ、INAO(国立原産地および品質機関)が任命した審査委員会によって作成されました。
Medoc の格付け制定から100年近く後の1953年に発表され、1959年に承認されています。

Graves の格付けに階級分けはなく、1987年に制定されたAOC.Pessac-Leognan に属するシャトーから赤ワインが7シャトー、白ワインが3シャトー、赤ワインと白ワインの両方で選出されたのが6シャトーの合計16シャトーが選ばれています。
もちろん、Medoc の格付けで第1級に選ばれた赤ワインの Ch.Haut Brion もこの格付けに入っています。しかし、白ワインは生産量があまりにも少なくオーナーが辞退したため、格付けに入っていません。


Saint-Émilion サン・テミリオン格付け

Saint-Émilion  の格付けもグラーヴの格付け同様、1855年のメドックの格付けの約100年後に制定されました。
生産者主導で行われる Saint-Émilion の格付けは10年ごとに見直しが行われます。これまでに1969年、1986年、1996年、2006年、2012年の6回にわたって改訂されました。

格付けは3階級にわかれたいます。 第1特別級 Premier Grand Cru Classé A・Premier Grand Cru Classé B と特別級 Grand Cru Classé です。10年ごとに見直しが行われますので格付けに興味を示さないシャトーや格付け辞退などが有り現在は約80シャトーが格付けに参加しています。


Cru Bourgeois クリュ・ブルジョワ
Cru Bourgeois の格付けは、常に問題提起され続け紆余曲折を繰り返して今日に至っており理解が難しいです。 
1855年の Medoc 格付けに漏れたシャトーを対象として、1932年に Bordeaux 商工会議所と Gironde 県農業会議所の権威のもと発表されたのが Cru Bourgeois の格付けの始まりで、当初は444のシャトーが選定されました。Medoc 格付けの次のクラスとしての位置付けでしたが、省庁の認可を受けたものではありませんでした。
2000年の農務省の省令で、Cru Bourgeois の上位階級として Cru Bourgeois Supérieur と最高位にあたる Cru Bourgeois Exceptionnel が設定され、これに基づき2003年に公式の格付けが初めて発表されましたが、審査の公正さに異論が噴出し2007年、Bordeaux の行政控訴院はこの格付けを無効とする判決を下しました。

その後、シャトーのオーナーらは「Medoc Cru Bourgeois 連盟」を作り、格付けではなく、一つの認定としてクリュ・ブルジョワの名称復活を発表。
メドックの八つのAOC「Médoc、Haut-Médoc、Listrac、Moulis、Margaux、Saint-Julien、Pauillac、Saint-Estèphe」による官能検査の合格、第三者機関の訪問調査受け入れなど諸条件を満たした場合にのみ、Cru Bourgeois の認定を与えることになりました。
審査は毎年行われ、2年前のヴィンテージの認定シャトーが、毎年9月に発表されることになりました。
しかしながら無効となった上位階級のない格付けを差別化を求める有力シャトーの多くが参加を見送り Cru Bourgeois 連盟は、「2020年までに3段階からなる新たな格付制度を導入する」と2016年に発表。

2018年ヴィンテージから再び三つの等級に分かれる格付けになりました。上位から Cru Bourgeois Exceptionnel、Cru Bourgeois Supérieur、Cru Bourgeois となりました。2020年度の格付けには、 Cru Bourgeois Exceptionnel 14シャトー、Cru Bourgeois Supérieur 56シャトー、Cru Bourgeois 179シャトーの合計249シャトーが選出されています。


Bordeaux Grands Crus Classés of 1855

  • 1級
    Chateau Lafite-Rothschild・Pauillac
    Chateau Latour・Pauillac
    Chateau Margaux・Margaux
    Chateau Mouton-Rothschild・Pauillac
    Chateau Haut Brion・Pessac-Leognan
  • 2級
    Chateau Rauzan-Segla・Margaux
    Chateau Rauzan-Gassies・Margaux
    Chateau Leoville-Las Cases・Saint-Julien
    Chateau Leoville-Poyferre・Saint-Julien
    Chateau Leoville-Barton・Saint-Julien
    Chateau Durfort-Vivens・Margaux
    Chateau Gruaud-Larose・Saint-Julien
    Chateau Lascombes・Margaux
    Chateau Brane-Cantenac・Cantenac(Margaux)
    Chateau Pichon-Longueville Baron・Pauillac
    Chateau-Pichon Longueville Comtesse de Lalande・Pauillac
    Chateau Ducru-Beaucaillou・Saint-Julien
    Chateau Cos d'Estournel・Saint-Estephe
    Chateau Montrose・Saint-Estephe
  • 3級
    Chateau Kirwan・Cantenac(Margaux)
    Chateau d'Issan・Cantenac(Margaux)
    Chateau Lagrange・Saint-Julien
    Chateau Langoa-Barton・Saint-Julien
    Chateau Giscours・Labarde(Margaux)
    Chateau Malescot St-Exupery・Margaux
    Chateau Boyd-Cantenac・Cantenac(Margaux)
    Chateau Cantenac-Brown・Cantenac(Margaux)
    Chateau Palmer・Cantenac(Margaux)
    Chateau La Lagune・Ludon(Haut-Medoc)
    Chateau desmirail・Cantenac(Margaux)
    Chateau Calon-Segur・Saint-Estephe
    Chateau Ferriere・Margaux
    Chateau Marquis d'Alesme-Becker・Margaux
  • 4級
    Chateau Saint-Pierre・Saint-Julien
    Chateau Talbot・Saint-Julien
    Chateau Branaire-Ducru・Saint-Julien
    Chateau Duhart-Milon-Rothschild・Pauillac
    Chateau Pouget・Cantenac(Margaux)
    Chateau La Tour-Carnet・Saint-Laurent(Haut-Medoc)
    Chateau Lafon-Rochet・Saint-Estephe
    Chateau Beychevelle・Saint-Julien
    Chateau Prieure-Lichine・Cantenac(Margaux)
    Chateau Marquis de Terme・Margaux
  • 5級
    Chateau Pontet-Canet・Pauillac
    Chateau Batailley・Pauillac
    Chateau Haut-Batailley・Pauillac
    Chateau Grand-Puy-Lacoste・Pauillac
    Chateau Grand-Puy-Ducassas・Pauillac
    Chateau Lynch-Bages・Pauillac
    Chateau Lynch-Moussas・Pauillac
    Chateau Dauzac・Labarde(Margaux)
    Chateau d'Armailhac・Pauillac
    Chateau du Tertre・Arsac(Margaux)
    Chateau Haut-Bages-Liberal・Pauillac
    Chateau Pedesclaux・Pauillac
    Chateau Belgrave・Saint-Laurent(Haut-Medoc)
    Chateau de Camensac・Saint-Laurent(Haut-Medoc)
    Chateau Cos-Labory・Saint-Estephe
    Chateau Clerc-Milon・Pauillac
    Chateau Croizet-Bages・Pauillac
    Chateau Cantemerle・Macau(Haut-Medoc)


AOC(AC)ワイン
  • AOCとは Appellation d'Origine Controlee (原産地統制呼称制度) の略
  • フランスの伝統的なワイン産地には、使っている葡萄品種や栽培方法、醸造方法などにそれぞれ固有のスタイルがあり、そのような産地の個性を守るための法的な規制です。
  • 1935年にフランスで制定され、INAO(国立原産地名称研究所)が管理をしています。
AOC と AC の使い分け
  • AOCが正確な表現で、「AC」は、「AOC」の表現が何度も続く場合に簡略化して言う場合。
  • 原産地とあわせて言う場合には、「AC」を使う。例としてAC.Bourgogne との表示は Bourgogneが「O」に当たる原産地なのでACを使っています。


Chateau system
  • Chateau system とは、ボルドーの特有の制度として「シャトー名をラベルに表示」したワインを市場に出すための条件を決めた制度です。
  • ボルドーワインは「シャトー・ワイン」と「ゼネリック・ワイン」に分けられる。
「Chateau Wine」
シャトー名をラベルに表示できる条件。畑や醸造所の設備などへの条件はありません。
  • 自己の葡萄畑で栽培した葡萄のみを使用する
  • 自分の醸造所でワインに仕込む
  • 自分のところで樽貯蔵する
  • 自分のところで瓶詰めを行う
  • Chateau Wine の中でも常に高品質ワインを造っているシャトーには公的「格付け」がなされておりラベルには「Cru Classe」と表示し区別している。

「Generic Wine」
シャトー名を表示できないので、地域・地区・村のAOCの名前が大きく表示される。
  • ボルドーの大手酒商(メーカーやネゴシアン)が、その地区や村の葡萄や樽酒を買い集め、混醸したワインを言う。 当然ながら他の地区や他の村の葡萄や酒を混ぜることは出来ません。
  • ワインはその地区や村の性格を反映し、AOCの規定に従った一定の水準以上のものでなければならない。
 ラベル表示はAOCにのっとって3種類に分けられる。
  1. ボルドー全域のもの「Bordeaux」
  2. 地区のもの「Medocや Graves・・・・」
  3. 村のもの「MargauxやSt-Emilionなど」。これはセミ・ゼネリックとワンランク上の呼び方をする。


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趣味として、Wineや台湾の紹介ブログを書いたり、台湾では大阪の食文化を紹介しながら「話せる日本語」を教えています。 30代前半で起業、60で引退、現在は大阪、南国台湾を往復しながらフリーランスな生活をしています。

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