セカンドワインは、ボルドー地方で生まれ、発展した独自の慣習です。
ボルドーのワイナリーでは、その年のブドウの品質や熟成後のワインの出来栄えによって、一番良いブドウや最高の樽のワインをグラン・ヴァンとしてリリースします。
それに対してセカンドワインは、樹齢の若いブドウ、特定の区画のブドウ、ブレンドから外れたもの等、グランヴァンの基準に満たないブドウや樽のワインを別のラベルを付けてリリースします。
これは、ファーストワインの品質とブランドイメージを維持するための戦略として行われます。多くの有名シャトーがセカンドワインを生産しており、ファーストワインよりも手頃な価格で、同じ生産者のスタイルを楽しむことができます。
ボルドー以外の他のフランスのワイン産地、例えばブルゴーニュやシャンパーニュでは、ボルドーのような明確なセカンドワインという概念はありません。
ブルゴーニュでは、畑の格付け(特級畑、1級畑、村名畑など)が非常に重要であり、それぞれの畑で生産されるワインが独立した銘柄として扱われます。例えば、特級畑の生産者が1級畑のワインを造っていても、それをセカンドワインと呼ぶことはありません。あくまで異なる畑のワインとして認識されます。
シャンパーニュ地方では、ヴィンテージ(単一年のブドウ)で造られる「ヴィンテージ・シャンパーニュ」と、複数の年のブドウをブレンドして造られる「ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュ」があります。ノン・ヴィンテージはメゾンのハウススタイルを表現するものであり、ヴィンテージ・シャンパーニュが「ファースト」でノン・ヴィンテージが「セカンド」という関係性ではありません。
もちろん、ボルドー以外の地域でも、一部の生産者がよりエントリーレベルのワインを別のブランド名でリリースすることはありますが、それはボルドーのようなファーストワインの品質維持を目的とした「セカンドワイン」のシステムとは異なります。
したがって、セカンドワインという概念は、フランスワインの中でも特にボルドー地方に根付いたシステムと言えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿