”阪堺電車で行く堺旅”−3  堺市で味わう古のせいろ蕎麦「ちく満」

2023年4月9日日曜日

私だけの名店

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豊かな歴史と伝統文化の街のお膝元に「ちく満」そばは有り、なんと創業は1695年(元禄8年)、超老舗蕎麦の有名店です。

現在も堺市の中心地である大道筋は路面電車阪堺線が走り、老舗の和菓子店や超有名店揃いの地域です。このすっきりした街並みに工場のような不思議な建物、一見してお蕎麦屋さんには見えない佇まいが「ちく満」です。
暖簾をくぐると直ぐに大広間がふすま越しに見え、左手に製粉している機械が並ぶまさに工場の雰囲気です。
 

メニューは、せいろそば1斤と1.5斤とおかわりのみです。
アルコールはビールと日本酒、突き出しに出汁取り後の醤油のかかった鰹節と山葵。

まず熱々の徳利(出汁)と濡らした白布巾がセットで到着し、その後、四角いせいろの上に薬味(青いネギの輪切り、ワサビ)、卵(うずら卵では無く普通の卵)、出汁を入れるお椀がセットで運ばれます。

さて、開始です。
お椀に卵を割り、よく溶いてから火傷しないよう熱々の徳利に濡れた布巾を巻いて慎重に出汁を注ぎます。
注意点は、出汁を全部入れると辛くなり、蕎麦の味が分かりにくくなります。卵より少なめに入れ味を確認しながら入れます。卵の溶き加減が最後の蕎麦湯を足したときの表情を変えます。例えば、よく溶くとかきたま汁のようなそば湯になり、余り溶かずにそば湯を混ぜると卵が大きな塊のような感じになります。
1組に1個の徳利で提供されるので行き渡るようにバランスよく入れてください。

独特な唯一無二の「ちく満」蕎麦をいただく心構え。
一度茹でてから蒸されているのでふにゃふにゃで、蕎麦はのど越しと香りだと言われるものとは程遠いものです。
更にこの”ふにゃふにゃ蕎麦”と全卵を溶いた出汁で食べるスタイル、一度で良さを理解する人は皆無でしょう。しかも見た目は安物くさく蕎麦の風味も強くありません。

「ちく満そば」は、蕎麦粉の風味、喉越しを楽しむという一般的な概念を捨て唯一無二の存在として認める。その上で、全卵を溶いた濃く甘みも強めの出汁で”ふにゃふにゃ蕎麦”を食べ、そのふんわりした食感などから大袈裟に言えば『出会いを楽しむ』心を養う蕎麦です。千利休の地であるだけにある種、茶道に通じる「ちく満」蕎麦道です。

そばが残り少なくなった頃合いの良い時間帯で特注の錫製打ち出しの湯桶に熱々の『かまくら(蕎麦湯)』が提供されます。
徳利に残った出汁も全て飲み干せるよう調整し、卵がいい感じに加熱され、かきたま汁のように花が咲いた蕎麦湯を楽しみます。

食べ終わりは提供された時と同様にすべての器をせいろの上に乗せる、これも「ちく満」の蕎麦心の楽しみの一つです。

従業員さん同士の”聞きました、たまわりました”と言う意味合いの”聞承(ぶんしょ)”が行き交う店で、この店が持つ空気感、雰囲気、蕎麦の味わいから中世、南蛮貿易、明貿易で繁栄した自由自治都市の地で330年間愛され食べ続けられている珍しいお蕎麦、他では絶対味わえない珍しい不思議な「ちく満」蕎麦の魅力を感じてください。

【店 名】生そばちく満(きそば ちくま)
【住 所】堺市堺区宿院町西1丁1-16
【電 話】072-232-0093
【営業時間 】10:30~20:00
【定休日】月曜日(祝日の場合は翌日休み)
【アクセス】阪堺電車『宿院駅』徒歩1~2分(170m)

堺について
  • 世界最大級の墳墓である仁徳天皇陵古墳をはじめとする百舌鳥古墳群は世界遺産登録されています。
  • 茶道を大成した侘茶の祖千利休、女性の自由と自立を求めた与謝野晶子など多くの偉人ゆかりの地です。
  • 包丁や自転車、鉄道、鉄砲鍛冶、線香、堺昆布など「事の始まりは堺」と言われて堺で生まれたものが全国へ広がっています。
  • 中世には南蛮貿易、明貿易などで栄えた自由自治都市です。
  • 13年と短命だったが、1868年(明治元年)堺県が誕生、その後1876年に奈良県が編入され大阪よりも広大な面積の県だった。

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趣味として、Wineや台湾の紹介ブログを書いたり、台湾では大阪の食文化を紹介しながら「話せる日本語」を教えています。 30代前半で起業、60で引退、現在は大阪、南国台湾を往復しながらフリーランスな生活をしています。

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